男子マラソン五輪代表内定の中村匠吾選手を指導する大八木弘明・駒大監督は「決定を待って、その場所に合わせて準備をします」と当惑気味。暑さを想定し9月に東京五輪のコースで行われたマラソングランドチャンピオンシップで、男女2人ずつの代表が内定していた。

 売った切符の問題も。東京開催なら新国立競技場で観戦できるが、毎夏に札幌である北海道マラソンは大通公園発着となっている。

 東京五輪は他の自治体開催の競技もあるとはいえ、マラソンは大会の華。都は300億円かけて遮熱性舗装などを整備したが、選手第一を強調する小池知事なら「準備したから」では説得力不足。IOCのトーマス・バッハ会長は17日に「札幌に移すことを決めた」とし、大会組織委の森喜朗会長は容認の姿勢を見せた。

 1984年8月に行われたロサンゼルス五輪の女子マラソンでスイスのアンデルセン選手が炎天下、よろめきながら完走し称賛されたが、ドクターストップをかけるべき危険な状態だった。開催季節、都市開催か国開催か、など五輪を根本から問い直す時だ。(粟野仁雄)

週刊朝日  2019年11月1日号