「スイミングプールや展望大浴場を備え付けてあるタワマンもありますね。湾岸地区でリゾートタイプといわれるものにはシアタールームやカラオケルーム、お酒が飲めるバーまでそろっています」(先の榊氏)
これでは月々の管理費が高くなるのは当たり前だ。
共用部分の面積が広いと大規模修繕の費用も膨らむ。タワマンは豪華共用施設がウリだから、ただでさえ費用がかかるのに、さらに増額要因が目白押しだという。 榊氏が、
「例えばエレベーターです。タワマンは階数も高さもマンションごとに異なりますから、エレベーターはすべて特注品です。交換する時はそのたびに工場でつくる必要があるのです。べらぼうにお金がかかりますよ」
と言えば、先の牧野氏も、
「住民に知られていないものの一つに非常用発電機があります。災害時用ですが、1機数千万~1億円もするのに15年程度しか持ちません。このため大規模修繕ごとに交換する必要があります。重油を使うので普段の管理も大変で、維持費も高い」
と話す。
先の三菱地所コミュニティの山崎統括部長によると、やはりゴンドラ方式の工事に費用が膨らむという。
「一般のマンションだと足場費用は大規模修繕全体の20~25%ですが、タワマンのゴンドラだとそれが40~50%に増えます」
マンション管理関係者の話を総合すると、最近の人手不足や規制強化などで、マンションの大規模修繕の費用は値上がりしており、今は一般のマンションでも1戸当たり約130万円が相場だという。そして、「タワマンはその2~5割増しにいくかいかないかの程度ではないか」とのことだ。とすると、仮に1千戸のタワマンがあったとすると、大規模修繕にかかる費用はやはり「約15億~19億円」にもなる。
■五輪後に先送り 工事集中の恐れ
ここに来て新たな不安も浮上しているようだ。
「タワマンに限ったことではないのですが、東京オリンピック後に建設工事が一段落して費用が安くなるのではないかという見方が広がり、大規模修繕を様子見しているマンションが多く見受けられます。これらがオリンピック後に一斉に工事を始めると、集中して対応できなくなる恐れがあります。当然、費用は高くなりますね」(三菱地所コミュニティの山崎統括部長)