成績急降下で逆風を受ける広島・緒方孝市監督(C)朝日新聞社
成績急降下で逆風を受ける広島・緒方孝市監督(C)朝日新聞社

 プロ野球・広島のリーグ4連覇が厳しい状況になっている。首位の巨人に大きく突き放され、クライマックスシリーズ(CS)争いの混戦に巻き込まれている。

 今月、スポーツ紙で緒方孝市監督の続投の可能性が報じられると、ネット上では、

「緒方監督辞めてほしい」

「緒方采配に疑問が残るので反対」

 など否定的な書き込みが目立った。

 2016~18年に球団史上初のリーグ3連覇を達成。「名将」への評価が低いのはなぜだろうか。

 今年は手腕が問われるシーズンといえる。チームの精神的支柱だったベテランの新井貴浩が昨季限りで現役引退し、攻守で大きな柱だった丸佳浩もオフに宿敵・巨人へフリーエージェント(FA)移籍した。

 それでも、下馬評は高かった。開幕ダッシュに失敗して借金8を抱えたが、5月に球団新の月間20勝で首位に浮上。貯金14と独走態勢を築くと思われた。

 だが、まさかの急降下が待ち受けていた。6月の交流戦で5勝12敗1分と最下位に沈み、リーグ戦再開後も11連敗を喫した。

 緒方監督への批判は、「不調な選手をかたくなに使い続ける」と采配面を指摘する声が多い。不動の遊撃手・田中広輔が打率1割台と低迷し、守護神の中崎翔太も直球が走らず精彩を欠いていたが、復調を信じて両選手を我慢強く起用し続けた。

 一方で、丸の人的補償で巨人から加入した長野久義は6月18日のロッテ戦(マツダ)で先発出場したのを最後に、約10日、ベンチを温めて7月3日に2軍降格。他球団のスコアラーが同情するほどだった。

「チョーさん(長野)は夏場に向けて調子を上げるタイプ。代打の1打席で結果を出さなければいけないのだろうけど、もう少しスタメンで使ってもよい感じはしますね」

 広島ファンの、緒方監督に要求するハードルが上がっていることは否めないだろう。リーグ3連覇しても「短期決戦に弱い」と言われる。16年は日本シリーズで日本ハムに敗れ、17年はCS最終ステージでシーズン3位のDeNAに敗退。昨年は日本シリーズでソフトバンクに負けた。

「4度目の正直」で日本一を狙った今季は、まさかの低迷。だが、シーズンは50試合以上残っている。セ・リーグの灯を消さないためにも、王者の意地を見せられるか。

(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事