一時氾濫した鹿児島市の和田川 (c)朝日新聞社
一時氾濫した鹿児島市の和田川 (c)朝日新聞社
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東京23区浸水危険度マップ (週刊朝日2019年7月19日号より)
東京23区浸水危険度マップ (週刊朝日2019年7月19日号より)
主な非常持ち出し品 (週刊朝日2019年7月19日号より)
主な非常持ち出し品 (週刊朝日2019年7月19日号より)

 275人の命が失われた西日本豪雨から1年。鹿児島県や宮崎県など九州南部では記録的な大雨で200万人近くに避難指示・勧告が出された。人口が密集する東京23区でもゲリラ豪雨による浸水の危険が専門家から指摘されている。近年増加傾向にある大雨に備え、万全の準備をしておきたい。

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「大雨特別警報が発令されるのか、まさに瀬戸際の状況だった」

 気象庁関係者が明かしたのは、7月3日から4日にかけて九州地方を襲った1時間に80ミリ以上が降る大雨だ。各地で堤防の決壊や土砂崩れが起き、死者も出た。

 4日午前6時すぎ、鹿児島県曽於(そお)市大隅町で住宅の裏山が崩れているのを近くの住民が見つけ、消防に通報。住宅1棟に土砂が流れ込み、4日午後、この家に住む85歳の女性が遺体で見つかった。

 5日現在、一連の大雨で、鹿児島県内では2人が死亡、5人が軽傷を負っている。

 鹿児島、宮崎両県での避難指示の対象は、3日午後10時半時点で計52万2369世帯、110万4237人。鹿児島県が11市町で鹿児島市約59万4千人、霧島市約12万5千人、鹿屋市約10万2千人など。宮崎県は4市で、日南市約3万6千人など。避難勧告も鹿児島、宮崎、本の3県で相次いだ。

 気象庁は3日、黒良龍太主任予報官が緊急の記者会見を開き、「自分の命は自分で守るという意識を持ってほしい」との異例の表現で早期の避難を強く促した。非常に激しい雨が同じ地域で数時間続くような場合、特別警報を出す可能性があると表明した。

 西日本豪雨では最大860万人に避難勧告などが出されながら、0.5%の人しか避難所に移動しなかった。その反省を踏まえ、気象庁は生き残るための行動を5段階表示する「大雨・洪水警戒レベル」の運用を5月に始めている。避難者に行動を促すべく、わかりやすく伝えようという狙いだ。

 例えば、大雨警報(土砂災害)や洪水警報、河川の氾濫(はんらん)警戒情報はレベル3で、高齢者の避難を促す。氾濫危険情報はレベル4で、自治体からは避難勧告や避難指示が出され、全員が避難すべき段階となる。大雨特別警報はレベル5で、命を守るための最善の行動を強く呼びかける。

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