リアルタイム予測は7月24日からの実証実験開始を目指し、現在は詰めの調整が行われているという。
気象庁でも大雨予測に関する対策を講じている。1月、積乱雲の発生や発達を24時間体制で監視する「シビアストーム監視班」を立ち上げた。
シビアストームとは「強烈な嵐」という意味だ。雨雲が近づいたり遠ざかったりする際、そこを通り抜ける電波の周波数が変わる性質を利用したドップラーレーダーなどを活用。積乱雲に伴う数キロ程度の大気の渦を見つけ出している。
分析結果は気象庁内で共有。竜巻注意情報や各地域で数年に1度しか起きない集中豪雨に相当する記録的短時間大雨情報を発表するだけでなく、大雨の特別警報発表の際の参考材料になる可能性もある。
観測強化の背景には、豪雨の増加傾向がある。
気象庁の統計では、1時間に50ミリ以上の雨が降る頻度は近年、1970年から80年代に比べて3割ほど増えたという。
地球温暖化との関係は解明されていない点が多いが、気温が上がると大気に蓄えられる水蒸気が増え、大雨の頻度が増すとみられる。積乱雲の集合体である台風も、海水温が上がり、水蒸気の供給が多くなると発達しやすい。
気象庁はさらに、スーパーコンピューターを導入。降水予報を6時間先から15時間先まで延ばした。台風の強度予報も3日先から5日先までに改良した。精度の向上を続けている。
それでも、近接した地域で積乱雲が次々と発生して、長時間にわたって豪雨となる「線状降水帯」については予想が難しいという。
国土交通省の有識者会議が昨年8月にまとめた見解では、数年後をめどに、半日ほど前に線状降水帯の発生を予報できるようにするとの目標を掲げている。
いつ集中豪雨に遭っても対処できるようにするにはどうしたらいいか。
気象庁はホームページで、「自分で行う災害への備え」を列挙している。大雨が降る前、風が強くなる前に行うこととして次のことを記している。