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野上忠興氏、小林吉弥氏、角谷浩一氏による参院選獲得議席数予測 (週刊朝日2019年7月12日号より) 
野上忠興氏、小林吉弥氏、角谷浩一氏による参院選獲得議席数予測 (週刊朝日2019年7月12日号より) 
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (1/3「 週刊朝日2019年7月12日号より) 
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (1/3「 週刊朝日2019年7月12日号より) 
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (2/3「 週刊朝日2019年7月12日号より) 
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (2/3「 週刊朝日2019年7月12日号より) 
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (3/3「 週刊朝日2019年7月12日号より)
参院選の主な立候補予定者と野上氏、小林氏、角谷による当落予測 (3/3「 週刊朝日2019年7月12日号より)

 参院選は7月4日公示、21日投開票に決まった。「老後2千万円不足」問題での麻生大臣発言など、選挙前に危機感漂う安倍自民、かと思いきや、官邸周辺からは「乗り切った」との声すら聞こえてくる。ただ、本誌の予測では、それほど楽観できる結果ではないのだが……。

【参院選の獲得議席数予測と立候補予定者の当落予測はこちら】

「問責決議案を提出するなどまったくの常識外れ。恥を知りなさい!」

 参院本会議で安倍晋三首相に対する問責決議案が審議された6月24日、反対討論に立った自民党の三原じゅん子氏は、こう声を張り上げた。野党は年金だけでは「老後2千万円不足」する問題を取り上げ、政府の責任を追及。これに対し、三原氏は次のように反論した。

「国民にとって大切な、大切な年金を政争の具にしないで頂きたい。高齢者の不安をあおらないで頂きたい。猛省を促します」

 盗人猛々しいとはこのことである。年金問題を巡っては、麻生太郎金融担当相は自ら金融審議会に諮問しておいて、報告書を受け取らないという前代未聞の愚挙に走った。森山裕国対委員長に至っては「報告書はもうない」などとうそぶき、野党が求める予算委員会の開催を拒み続けた。

 厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題で始まった今国会は、年金問題で幕を閉じた。国民の目から見れば、安倍首相は説明責任を果たさず、どこまでも逃げ回った姑息(こそく)さしか残らない。

 ある自民党幹部は話す。

「首相周辺からは『2千万円問題は終わった。G20サミット成功で支持率アップ。野党はだらしないのでまあ勝てる』なんて話も聞こえてくる。安倍政権になって衆参の選挙は負けていない。なんとなく今回も勝つという根拠のない空気がある。楽観するのはどうなんだか」

 年金問題に加え、10月には消費増税が控える。選挙を目前に、自民党には激しい逆風が吹きつける。

 政治ジャーナリストの野上忠興氏がこう指摘する。

「国民の関心が高く、生活に直結する問題が出そろいました。前門の年金、後門の消費増税、そして左右の門にもイージス・アショアの調査ミス問題と、先送りされた日米貿易交渉があります。安倍首相は四方を囲まれてしまった形です。自民党がここまで厳しい環境の中で選挙戦を強いられるケースは、稀なことです」

 事実、自民党が独自に選挙区の情勢を調査した極秘資料によれば、軒並み厳しい戦いを強いられている。前回の2016年参院選で議席を失った11の選挙区に滋賀、愛媛など5選挙区を加え、「激戦区」を16とした。だが、無風と思われた選挙区でも異変が生じている。調査は、4月15日、5月13日、6月10日の3回行われているが、順次、軒並み評価を下げている。

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