余命1年半の告知にも「次にできること」を探った俳優。闘病生活から見えた、最愛の人との歩み。よく生きて、よく逝った著名人の最期を追う。
■萩原健一 「余命1年半」と告知 妻と出版『最終章』で明かす
3月26日にGIST(消化管間質腫瘍)のため死去した、歌手で俳優のショーケンこと萩原健一さん(享年68)。世を去って2カ月足らずで、本人の著書『ショーケン 最終章』(講談社)が出版された。
著書の中で、萩原さんは2018年6月、医師から「余命1年半です」と告げられたことを明かしている。「最期がいつになるか。明日なのか、それともずっと先なのか、それはまったくわからない」と記した。
ただ、こんなに早く世を去るとは、担当編集者の田中浩史さんも思っていなかった。昨年11月から今年2月にかけて計9回のインタビューが行われた。
取材には妻の理加さんが同席していた。結婚してからのことでは、理加さんのほうがよく覚えている部分もあったという。
「萩原さんは海外へ2人で一緒に行き、妻とカフェで普通にお茶をしているときが、すごく幸せ、ということを話されていましたね」
萩原さんは「ザ・テンプターズ」のボーカルとして16歳でデビュー。21歳のとき、「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)のマカロニ刑事役や、20代で「傷だらけの天使」(同)、「前略おふくろ様」(同)に出演し、俳優として人気者になった。
「どの役をやっても同じ持ち味の役者さんもいますが、萩原さんの場合、役によってつねに自分を変えていった。今の自分ならこういう役ができるということを意識していた」
萩原さんと一緒に仕事をしたことのある芸能関係者は、
「こだわりが強い人。仕事の内容を原作などの本からチェックしていく。そういう意味ではプロなんだが、まわりの人からみれば、扱いにくい部分もある。監督が何と言おうが、自分が納得しないと、『それは違う』と言うから」
6月30日から放送予定のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」第2部に、萩原さんは、政治家高橋是清として出演する。