「アルツハイマー病の予防効果の報告はアメリカの医学雑誌『JAMA』にしっかり掲載されていますし、カルシウムの研究も医学雑誌に載っています。ほかにも、ベータカロテンやビタミンDなど、さまざまな栄養素でエビデンスが出ています」(久保さん)

 利用の目安は、自覚症状と血液検査だ。疲れた、眠れない、腰やひざが痛いといった自覚症状は、体が発しているSOSのサイン、東洋医学でいう“未病”の状態であることが多い。そのときは、「改善の最初の一歩としてサプリメントを試すのは悪くない」と久保さん。

「ただし、例えばひざの痛みの場合、原因はさまざまで、治療が必要なケースもある。一般的には、個人の感覚で自覚症状の改善を感じるまで、およそ1カ月~3カ月かかるとされています。それだけ飲んでも改善が実感できないようなら、飲むのをやめたほうがいいかもしれません」(同)

 血液検査は特殊な人間ドックで実施されている。血液検査によって客観的に不足している栄養素を知ることができるというものだ。

「希望されるサプリメントが治療上、問題がなければ、基本的には患者さんにお任せします」

 と話すのは、桑名市総合医療センター(三重県)顧問で、膠原病リウマチ内科の松本美富士さん。ただ、ある治療薬を使っている患者には、必ず注意を促す。

「関節リウマチの患者さんにはメトトレキサートという薬を使いますが、サプリメントで葉酸を摂っていると効果が弱まるのです。なかには『マルチビタミン』のなかに含まれていたのに気づかず、摂り続けていた患者さんもいました」

 浅井病院(千葉県東金市)の内科・精神科医の赤木孝匡さんは、アレルギーに注意をと呼びかける。以前、皮膚症状を訴える患者を診た際、その原因がサプリメントだったことがあった。

「胃のムカムカや湿疹があり、アトピー性皮膚炎と診断されてステロイド薬を塗っていた患者さんでした。症状がよくならないので話を伺うと、数年前からサプリメントを摂っていると。そのサプリメントをやめたら症状がなくなりました」

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