「実際、五十肩で手術を要する患者は5%以下です。五十肩の治療では、手術よりリハビリを主体とした保存療法の役割が非常に大きくなります。無理に動かし痛みを伴う間違ったリハビリをおこなうと、筋肉の防御性収縮が起こって症状がかえって悪くなるケースもみられます。痛みの対症療法をしながら、患部を温め、痛くない程度の適切なリハビリを継続しておこなうことが大切です」(岩堀医師)

 五十肩はほとんどの場合、およそ1~2年の間に自然に治癒することが多いが、期間や症状の現れ方は個人差が大きい。

「拘縮が起こっても、不思議なことにそれが治るのが五十肩です。ただし、ほぼ治るとはいえ、全体の約2割の人には可動域制限が若干残ります」(中川医師)

「治癒までの期間が3~6カ月の人もいれば数年かかる人もいます。炎症と拘縮が一気に起こる人や、片側の肩が治った後にもう片方にも起こる人などさまざまです。ただし同じ側の肩に再発することは、ごくまれです。軽い場合は必ずしも受診する必要はありませんが、無治療であれば、五十肩が完全に元通りに治癒するのは全体の3~4割でしょう。適切な治療をおこなうことにより、治るまでの期間を短縮させたり完治する割合を高めたりすることができます」(岩堀医師)

 五十肩だと思っても、なかには肩腱板断裂であったり、頸椎疾患や心臓病、がんなどが原因であったりすることもあるので注意してほしい。強い痛みや動きの制限があれば、自己判断せずに、専門医のいる整形外科を受診して適切な診断・治療を受けることが大切だ。(ライター・坂井由美)

週刊朝日  2019年5月31日号

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