家来Bと家来Cは、自分の支持者に御大将の寵愛自慢をしたかった。が、ちょっと思慮が浅かった。御大将は『私が国家』といってはばからないが、この国はまだ独裁国家ではない。家来たちもそのことを忘れているみたいだけど。御大将の独断でなにかを決めていいわけがない(となっている)──。

 森友、加計、統計問題もおなじこと。けど、今回は家来たちがついうっかり親玉を暴露してしまった。塚田氏の辞任で終わり? この問題はこの問題だけのことじゃない。この国のあり方という大きな問題だ。

 考えてみ。塚田氏の辞任で終わりになるって怖くない? この国では御大将を傷つける「ついうっかり」の罪がいちばん重いってことになる。

 これだけ忖度が横行する国家は民主主義とはいえないのではないか。

 この国を、北朝鮮みたいにしたいんか?

週刊朝日  2019年5月3日‐10日合併号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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