派手なPRはしないのに年間300万人を超す観客を集める。今年105周年を迎えた宝塚歌劇団(以下、タカラヅカ)が絶好調だ。支えるのは40代以上の、いわゆる「大人女子」たち。男役スターに心を奪われ次々に深みにはまっていく。
では、なぜはまるのか。ほとんどの人が男役にハートを射ぬかれてしまう。トップスターで言うと、一番人気の花組・明日海りおを筆頭に、雪組・望海風斗が続き、月組・珠城りょう、宙(そら)組・真風涼帆となる。星組の紅ゆずるは2月5日、10月で退団することが発表された。
東京都八王子市のA子さん(50)が、
「もうこの年になれば、夫は彼氏ではありません。自分の体内でときめきを自己生産することもできません。でも何歳になっても女子ですし、ときめきはほしい。ジェンヌさんがそれをくれるんです。東京で公演をしているときは、贔屓のジェンヌさんが私の彼氏みたいなものです」
とタカラジェンヌが「疑似恋人」になっていると言えば、都内のB子さん(46)さんは、
「背が高くてカッコいい男役を見ていると鳥肌が立ってきます。昔読んでいた少女漫画の主人公が飛び出てきた感じです。実際の男性と違って、汗臭くもないしのどぼとけもありません。8頭身で顔が小さくて、実際にいない男性が目の前にいる。ズバリ、『いいものを見たな~』と思えてしまうんです」
と、芸術作品のように、タカラジェンヌが一種の「観賞物」になっていると話す。
どちらも女心がそそられているのだが、A子さんは矛盾するようなことも口にする。
「一方で息子の部活を見に行くような感じもあります。成長過程に寄り添いたい、一緒に成長したいという気持ちです」
都内に住む60歳代のA子さんは、ファンクラブに入って贔屓の若手男役への「愛」が深まったという。
「気になって仕方がありません。『今、何をしているんだろう』とか『役づくりで困っているのでは?』など、どこまでも深く理解したい思いが募ります。ご贔屓を成長させたい『育てモード』とでも言うのでしょうか……」