「高齢期においての性欲は個人的な欲求ではなく、『誰かとつながりたい』という社会的な欲求でもあるのです。それをわざわざ『ないもの』として抑えつける必要はないと思います」
それは夫婦間のみならず、シングルのシニア同士が恋に落ちたときでも、だ。
「ただシニア同士が恋を始めるときは、性欲や恋愛欲求に関しては『格差があって当然(逆にないほうがおかしい)』『むしろ格差をすり合わせていく過程を楽しむ』くらいの考え方をするほうがベターでしょうね」
若いころはお互いの違いや、恋愛に対する温度差を受け入れる余裕がなかったり、どちらかに合わせようと無理をしてしまうことも多い。
「しかし高齢になってからの恋愛であれば、自分と相手との違いを初めから受け入れたほうが、お互いにとってベストな距離感をつかんで恋愛を進行させることができるのではないでしょうか」
そしてさらに肝心なことは、高齢だからといって自分の価値を自分で“つまらないもの”と決めつけないことだ。
「平均寿命を考えれば、女性の場合は夫に先立たれることのほうが多いですよね。でも夫なきあとも長い人生が続くと考えれば、何もひとりぼっちで生きることだけでなく、新しいパートナーと出会って生きていくという選択肢もあっていいわけです。そんなときにしてはいけないことは、『私なんてもう若くないし』『キレイじゃないし』『身体のラインも崩れているし』と自分で自分の価値を低く見積もることです」(恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さん)
身体なんて絶対見せられないわよ。こんなタレ乳、くずれ尻。
「そういうことを自分からおっしゃる方も多いのですが、世の男性みんなが若い女性の美乳、美尻を礼賛しているなんて思い込むのはナンセンスです。美乳よりタレ乳、美尻よりくずれ尻を認めてくれる人も、世の中にはいるのですから。自分からネガティブなことを口にする前に、老いたボディでどこまで愛し合えるかを考えたほうが、よっぽど生きる活力になりますよ」