西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、若手選手の指導で心がけていることを語る。
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いよいよプロ野球は2月のキャンプインを迎える。昨年は広島のリーグ3連覇、西武のリーグ制覇、そしてソフトバンクの2年連続日本一となったが、オフを経て早くもこの時期が来た。
1月の新人合同自主トレでは、日本ハムの吉田輝星、中日の根尾昂、ロッテの藤原恭大ら、高卒新人にスポットが当たった。報道を見ても、3人は自分の言葉で現状を説明できているし、頭の良さを感じる。根尾は右ふくらはぎの肉離れで2軍スタートとなる誤算はあったけど、あせらず調整を進めてほしい。開幕は2カ月以上先。逆に過度な注目から解放されたと前向きにとらえ、じっくりと歩を進めてほしいよね。
特に入れ替わりの激しい近年のプロ野球。若手の台頭を促そうと、各球団とも紅白戦などの実戦が早くから組まれている。だが、ベテランは違う。あくまで開幕に向けてどう仕上げていくか。周囲の仕上がりに惑わされず、自分の調整を貫くことが大切になる。
39歳を迎えるシーズンとなる中日の松坂大輔はやはり気になるよね。ソフトバンク時代の3年間、右肩痛で投げられる状態になかったが、昨季は中日にテスト入団して6勝。その反動はオフの時期に体に出ていたはずだ。右肩の補強やメンテナンスをしても、スローイングメニューは最低限に控えてきたという。休ませすぎは良くないが、高校からずっと酷使してきた体は満身創痍(そうい)なのだから、他の選手以上に繊細な調整が求められているのだろう。キャンプも調整ペースを早める必要はまったくない。
昨年の投球を見ても、毎試合の調子にバラつきが大きかった。そのバラつきを、ボールを動かし、打者を幻惑することでしのいだ。もちろん、“松坂大輔”というネームバリューも抑える要因となっただろう。だが、同じことが今年も通用するほど甘い世界ではない。