皮肉なことに、この調査から見えてくるのは、情報が多すぎるがゆえに情報を絞り込む若者像だ。調査を実施したNHK放送文化研究所は、情報過多への自衛策として接触する情報ジャンルや情報源の範囲が狭まり、「世の中の動きを伝える客観的な情報に広く接触する機会が失われている」と指摘する。
もちろん、若者が中高年に比べて社会への関心が薄いのは今に始まったことではなく、それが調査結果に反映されている部分もあるだろう。
しかし、検索エンジンやソーシャルメディアのアルゴリズムが利用者個人の関心や考えに即した情報ばかりを提供することで、それ以外の情報から遮断されてしまう「フィルターバブル」の影響を無視するわけにもいかない。デジタルネイティブの若者たちが、知らず知らずのうちにバブルに取り込まれている可能性もある。
問われているのは「情報過多」ではなく、「情報源の偏り」から生じる問題なのだ。
※週刊朝日 2018年12月21日号