風邪をひいても、胃が痛くなっても、ほとんどの薬の添付文書には「妊娠中にはお飲みにならないでください」の文字が書かれています。自分に子どもができてもお酒や薬を飲めるぶん、身体的に夫はラクなのです。ましてやたばこなんて自分の嗜好なうえに副流煙のほうが有毒なわけですから、妻が薬さえ飲めない時期に夫がたばこを吸っていたら、「自分勝手な人」に見えるのも当然ではないでしょうか。
■母親は、趣味に費やせる時間がこれっぽっちもない
さらに母親は、子どもが生まれると朝も昼もなく2、3時間おきにミルクをあげなくてはならないので、とにかく寝不足になります。小さい子を1人にはできないため、美容院にさえ出かけるのが難しくなります。お風呂だって、湯船にゆっくりつかることなんてできません。ですから趣味になんて費やしている時間は、これっぽっちもないのです。
そんな中で夫に、「趣味の自転車に乗ってきたよ」なんて言われたら腹がたって、「そんな時間があるなら子どもをみていてよ」と言いたくもなります。妻が「子どもが生まれる前みたいに自分の趣味を楽しみたいから、面倒をみていて」と言いだすと、世間は「妻としてどうなのか」と責めてきます。しかし夫が同じことをしても責められることは少なく、趣味をやめると「なんていい夫だ」と褒められるのは、おかしいと思いませんか?
私も、夫が仕事帰りに美容院にいったと聞いて、「私だっていきたいのに」と思いイラッとした経験があります。このとき、私は「夫が美容院にいくこと」自体に不満をもったのではありません。「自分の時間をつくるのなら、同様に私のための時間もつくってよ」と嫌な気分になったのです。中田氏曰く、「自分は妻のいうことを聞いていろいろと改善したのに、妻は不満を言い続けた」のだそうです。
それは単純に、妻が夫に対して真に改善を求めていた点はそこではなかった、と考えられます。雑草は、表面に見える葉だけ取っていっても、すぐにまた生えてきます。根っこを抜いていかなければ、あまり意味がありません。中田氏は、妻からお風呂で「下の子を率先して洗ってくれない」と言われたそうです。その点に関して、「先に自分が上がり、子ども2人をタオルで拭くなど出てから子どもの世話をしたほうがよいと考えていた」と不満を書いています。
杉山奈津子
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