日本温泉協会副会長で医師の前田眞治さんがこう解説する。
「ご高齢の方には、単純温泉か塩化物泉がいいです。単純温泉がなぜ良いのかというと、肌触りがよく、刺激が少ないのでリラックスして長湯ができ、ゆったりとした気分になれるからです。代表的なところで、箱根湯本や鬼怒川、修善寺、道後などです。一方、塩化物泉には痛みを和らげるという性質があり、肩や膝に痛みがある人は、塩化物泉を選べばほぼ間違いない。出た後も体はぽかぽか。温熱効果がもっとも高い泉質です。熱海や有馬などが代表的。硫黄泉も温熱効果が高いですが、肌に対して刺激が強い。ほどほどなら問題ないのですが、肌が弱く、気になる人は入浴後は洗い流したほうがよいでしょう。仙石原、草津、蔵王、那須の鹿の湯温泉などです」
この三つ以外にも泉質は7種ある。「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「酸性泉」「含よう素泉」「放射能泉」。ではどういう基準で選んだらいいのか、体の症状別に聞こう。
「肩や腰が凝る人や、リウマチ、脳梗塞で手足が動かしづらい人は、塩類泉がいい。すなわち『塩化物泉』『炭酸水素塩泉』『硫酸塩泉』です。高血圧症の人には、血管拡張効果が期待できる『二酸化炭素泉』や『硫黄泉』。これらは脳梗塞予防にもいいのです。高尿酸血症(痛風)の人は『放射能泉』に。心臓疾患を抱える人は、『二酸化炭素泉』に半身浴程度に、が良いでしょう」(前田さん)
以上は浴用としての効果だが、温泉地によっては飲用が可能な場所もある。
「炭酸水素塩泉」を飲用すれば、胃酸を中和させることで胃十二指腸潰瘍や逆流性食道炎への効果が期待される。さらに尿をわずかにアルカリ性にすることで尿酸結石の生成を阻害するため、痛風にも効果がある。
では、どんな温泉地が人気なのか?
「今、3世代温泉旅行が増えていますね」
と話すのは、JTB商品企画部エース販売課の川尻宣明さんだ。特に北陸エリアが人気で、金沢市内に1泊し、もう1、2泊を和倉温泉か加賀温泉に滞在、というプランが多いという。
最後に、年末年始のプランがまだの方に、こっそり教えよう。キャンセル料が21日前から発生するため、12月10~15日の期間は予約が動く可能性が高いという。諦めずに、この時期に問い合わせをする手もある。しかし、旅はなるべく早めに予約が基本です。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2018年11月30日号より抜粋