「稲取東海ホテル湯苑」の露天風呂(JTB提供)
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温泉エッセイスト・山崎まゆみさんが選ぶ12宿(週刊朝日2018年11月30日号から)
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日本温泉協会副会長の前田眞治医師が選ぶ20宿(週刊朝日2018年11月30日号から)
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「明日行けなくなるかもしれない。みんなに温泉に入ってほしい。家族の皆さんも諦めないでほしい」

【温泉のプロが選ぶ宿の一覧はこちら】

 こう話すのは、温泉エッセイストの山崎まゆみさん。2012年に病で見送った妹が晩年過ごした養護施設で、「お風呂に入れる日を、カレンダーに○を付けていた」日々が忘れられない。山崎さんが、高齢者や、ハンディがある人でも利用できる宿がたくさんあるというのを知ったのは、妹を見送って1週間もしないころのこと。

「本当に悔やまれました。知っていれば、妹を連れていけたのに。最後に家族旅行ができたのに、と思ったのです」

 これが、山崎さんが今も精力的にバリアフリー宿を取材する原動力だ。最近では、旅をサポートするトラベルヘルパーと、高齢者と、その家族の旅に取材という形で同行する。

「目の前で、これまで話せなかった90代が、キラキラと輝く笑顔で話せるようになる。顔色も違う。その変化たるや、すごいです」

 では、宿の選び方、予約のポイントから聞こう。

「連れていきたい人の体の状態や、希望内容を、細かく伝えること。それによって、宿側も準備すべき備品の想像ができるからです」

 宿側の対応が悪く、不安と感じたときはやめたほうがいいという。

「予約の段階から労をいとわず相談に乗ってくれる宿は、現地でも親切だからです」

 注意すべき点もある。

「希望を伝えるときは『主張』するのではなく『相談』するような形で行うこと。たとえば『旅館内の移動が心配なのですが、段差があるところはどうしたらいいですか』というふうに。経験値が高い宿はいろんな状態の客を受け入れているので、きちんと伝えるほうが良いのです」

 宿側もできることとできないことをきちんと伝えることで最大限のサービスを、と考えているからだという。

「事前の確認で、大事なのは、(1)宿内の動線確認。フロントから客室までの距離や段差。遠い場合は、室内用の貸し出し車いすがあるかどうかを聞きます。(2)にトイレ。車いすのまま入れるトイレなのか否かなど。次いで(3)客室、(4)風呂、(5)食事です。そして何よりも大事なのが、『早めの予約』です」

 宿によっては、料理を「一口大」「きざみ食」「極きざみ食」「ミキサー食」にしてくれるところもある。「見て楽しむ」懐石料理をあえてミキサー食にするのだ。客室での食事の際の机の高さまで変えてくれるという気配りも。

「多くの客のリクエストに応えて今のサービスがある。応えてあげたいという気持ちがある。そういう宿はハートのバリアフリー宿。結局は人、なんです」

 続いて、泉質も考えてみよう。

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