ほんわかと少女のように可憐な笑顔の持ち主でありながら、ひとたび芝居に入れば圧倒的な演技力で見る者を魅了する大竹しのぶさん。最愛の母を亡くした数日後に行われた、作家・林真理子さんとの対談では、互いが迎えた母の死についても語り合いました。
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林:IMALUちゃん(長女)も前にこの企画に出ていただきましたけど、おいくつになったんですか。
大竹:今年29歳です。
林:お子さん二人もいて幸せですよね。女優さんでも不幸な私生活の人ってけっこういるじゃないですか。亡くなった大原麗子さんにしても、大河ドラマの主役をやったほどの女優さんがあれだけ寂しい死に方をなさったし。でも、大竹さんは立派なお子さんが二人いらして、お母さまも一緒で、幸せそうだなと思って。
大竹:私はふつうに人を好きになって、結婚してその人の子どもを産むということを、ごくごく自然にやってきたので、女優だからここが大変だったとかいうことはないですね。それなりに大変なことはありましたけど、「女優という仕事をしている母親」という感じです。
林:私、朝日新聞夕刊で連載中の大竹さんのエッセー(「まあいいか」)大好きなんですよ。96歳のお母さま、家族にこんなに大事にしてもらって、なんて幸せな老後だろうと思って。IMALUちゃんがお母さまをすごく大切にしてる感じで、お昼をつくってきて、息子さんもお母さまと一緒に食べてあげるんでしょう? 最高じゃないですか。
大竹:そうですね。娘は近くのマンションに住んでいて、息子(二千翔)と私といるんですけど。
林:お母さまはお元気なんですか?
大竹:……実は、母は先週の土曜日に亡くなったんです。(編集部注:本対談は9月6日実施)
林:えっ! 本当ですか。亡くなったという記事、まだ出てませんよね。
大竹:あしたの夕刊に載るエッセーに書いたんです。
林:まあ、そうですか……。皆さんに看取られて?
大竹:私は朝の4時ぐらいまで一緒にいて。まさか亡くなると思わないから、その後寝ていて、妹が母と一緒にいたんですけど、妹も少し眠っていて。だから眠りながらという感じですね。起きたらもう……。