「3年半ほど前に大腿骨を骨折したので、いまは老人ホームに入っています。でも心はすこぶる元気ですよ。
どんな人間も老化は止めることはできませんが、いくつになっても勉強することは大切です。ニュースは毎日チェックして、世の中で何が起きているのかはきちんと理解しておかないと」
それプラス、新しいことを学ぶことが元気の源。
「生け花でも俳句でも、自分が少しでも『やってみたい』と思うことは、やるべきです。何かに興味を持つこと、何かにときめくということは、生きる原動力になりますよ」
若い時に学んだことを学び直すことも、長い人生の中では大事なことだと思っている。
「たとえば英語ね。わたくしは女学校の先生が会話を重点的に教えてくださったので、それが生涯役立っているのですが、やっぱり英語って読めても話せないと、いざという時に困るのよね」
2020年には東京オリンピックがある。
「そうすると外国からもお客様がいっぱい来ますよね。駅で電車のことを聞かれたり、街で道を聞かれることも多いと思いますよ。そんな時に答えられないでスーッと逃げていくことがないように、英会話は学び直しておきたいですよね。だって開催国なんですもの。そう考えたら、小さな目標でも、毎日の励みになりませんか?」
笹本さんご自身が、オリンピックの頃までに達成したいことはあるのだろうか。
「いろいろありますけれど、そこまで生きてるかどうか」
いやいや、この勢いでどこまでも。
「それじゃ、おばけじゃないの(笑)。わたくし、もう100と5歳よ」
笹本さん、今度は1歳増えてますって。
「ま、細かいことは気にせずに。いまは車椅子を使って暮らしていますが、新しい写真を撮りにいきたいという気持ちはいつも持っています。その気持ちと共にもう少し“シャバ”でがんばらせていただくわ(笑)」
恒子の「つ」は、「痛快」の「つ」なのかもしれない。(赤根千鶴子)
※週刊朝日 2018年10月12日号