森友にしても加計にしても、以前ならば、自民党議員たちから問題ありという声が噴き出したはずである。そういう、自らをただす姿勢が少なからずあったから、自民党は長く政権を維持できたのだ。

 だが、小選挙区制になって、自民党から立候補するためには、執行部から公認されなければならず、気に入られようとする。そして、議員になれば、なるべく早く党の役員になり、大臣にもなりたいと願う。となると、安倍首相に取り立てられなければならず、つまりは安倍イエスマンになってしまう。そして、自民党議員たちがそうなってしまったために、森友疑惑でも加計疑惑でも、問題ありという声が出なくなってしまったのだ。問題ありだと思った議員たちも、怖くて声が出せないのである。これは大問題だ。

 だが、それ以上に問題なのは、安倍首相のイエスマンになった議員たち、いや幹部たちも、この国のためにどういうことをすべき、あるいはすべきでないかを責任を持って考えなくなっているのである。これは自民党の劣化だ。いってみれば、安倍首相任せなのだ。そのことを安倍首相自身、強く感じているはずである。

週刊朝日  2018年10月12日号

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