運動部に所属する高校生たちの夏の全国大会といえば、全国高等学校総合体育大会(全国高校総体)。通称「インターハイ」。日本一の栄冠を目指して、全国から集った高校生がしのぎを削るこの大会だが、実は2020年大会で柔道、ボクシング、体操の競技が開催危機にある。危機の発端は東京五輪にあるというのだ。
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全国高等学校体育連盟(高体連)によると、インターハイは1963年に第1回大会が開かれた。2010年まではほぼ単県開催だったが、自治体が開催費用負担の面などの都合で、翌11年からブロック開催へ。今年は三重県や愛知県を中心とした東海ブロックを会場に30競技(ヨットは和歌山県固定開催)が開催された。
20年の北関東インターハイを巡って雲行きが怪しくなったのは11年9月。東京が五輪招致に名乗りをあげたからだ。
開催地が近いことで最も影響を受けるのが宿泊だ。30競技あるインターハイでは、出場選手や役員ら大会関係者が延べ20万泊する。東京五輪開催が決まれば、観客が北関東の宿泊施設にも流れ、宿泊料金が高騰すると予想された。
そこで北関東4県の高体連会長から全国高体連会長宛てに開催地の変更を求める要望書を提出。だが、東京開催が決定しないことには変更を検討できないとして、要望はいったん保留された。
2年後の13年9月に東京開催が決定した。全国高体連は早速、翌年以降の開催予定地である21年の北信越、22年の四国、23年の北海道の各高体連に相談したが断られた。
全国高体連の西塚春義事務局長によると、インターハイは、開催地の自治体(県、市町)が経費の7~8割を負担するという。前倒しの開催となれば、各自治体の予算にも影響する。また、西塚事務局長によると、先の3開催予定地は冬季競技を含めた全国規模の大会を控えていることもあり、受け入れが困難だったという。
検討を重ねた全国高体連が出した結論は、サッカー、バレーボール、水泳など11競技を北関東で開催し、残る19競技の開催地を探すことだった。史上初の「分散開催」を決断した。
今年8月末時点で、北は青森県十和田市(相撲)から南は大分市(フェンシング)まで、16競技の開催地が決まった。