国会議員票も直前予想では石破氏は50票と報じられていたが、蓋を開けてみれば、73票。ジャーナリストの歳川隆雄氏はこう読む。
「アンケートなどで全員が安倍首相に入れるとされていた岸田派48人の中から5人は石破氏に票が流れたのではないか」
どちらに投票するかと注目されていた小泉進次郎筆頭副幹事長は総裁選の投開票当日になって突如、「石破支持」を表明し、驚かせた。
「進次郎氏は最初、マスコミ1社だけリークし、反応を見てから公言した。衝動ではなく、熟慮の末のことだった」(歳川氏)
父親の小泉純一郎元首相が野党候補にエールを送った新潟県知事選挙では自民党系候補の応援を断ったとされる進次郎氏。だが、沖縄県知事選挙では9月16日、菅義偉官房長官と仲良く自民、公明などが推薦する前宜野湾市長の佐喜真淳氏の応援に入った。急逝した翁長雄志前知事の弔い合戦となり、接戦となっているが、今回の進次郎氏の沖縄入りは、何を意味するのか。
「菅さんは進次郎さんを『将来の首相に』と日頃から言っている。私は進次郎さんは今回、菅さんの下で官房副長官をやって、来夏の参議院選の後にもう一回、組閣がありますから、そのときに大臣を目指すのではないかと思います」(大下氏)
純一郎氏は8月16日、安倍首相や麻生太郎財務相と一緒に山梨県でゴルフをして以降、安倍批判を封印している。
「総裁選後の息子のポストと引き換えに“密約”でも交わしたのではないかと、ずっと噂になっていました」(細田派の中堅議員)
鈴木氏はその裏側をこう分析する。
「進次郎氏の石破支持表明は、地方党員の投票が終わったタイミングで、地方票には影響はまったくなかった。このギリギリのタイミングで発言したのは、安倍・石破双方の陣営や党員の動向に気を使い、同時に自分への火の粉も最小限に収めた。しかし、最後に石破さんの名前を出すことによって、進次郎氏の存在感を示すことができた。見事な立ち振る舞いだったと思います」