作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏はバスケ男子日本代表の買春問題が大きく扱われたことに驚いたという。
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ジャカルタで開催されたアジア大会中にバスケ男子日本代表選手4人が買春し、日本選手団の代表認定を取り消され帰国した。
ジャカルタのリトルトーキョーと呼ばれる歓楽街には、日本人男性相手に女性たちが接客し、性売買できるお店がいくつもあるという。バスケ選手に最初から買春目的があったかどうかは知らないが、日本食を食べに行った帰りに勧誘され買春したかたちからすれば、“その街では誰もがやっていること”くらいの気軽な気分だったのだろう。通りすがりの日系企業の社員が彼らの買春交渉を手伝ったというのも、象徴的な話だ。その結果が、代表認定を取り消され、自費で帰国させられ、世界中で写真付きで報道されるようなことになるとは、思いもよらなかっただろうけれど。
とはいえ、正直に言えば私も驚いた。日本社会で“買春”を、こんなに厳しく問われた男など、いただろうか。文科大臣が公用車で“セクシーヨガ”に通っていても「あれはセクシーじゃない」と言えば許されるくらい、男の性に甘いのに。買春情報が環境のように溢れている社会なのに。それでも国際基準で「買春」は許されないことはわかっていたのだな、と私は驚いたのだった。外と内で買春のダブルスタンダードがあったんだな、と。