


著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は元プロレスラー・アニマル浜口さんの「もつ焼き 稲垣本店」の「串焼き」と「煮込み」。
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僕がまだ国際プロレスに所属していた20代の頃。後楽園ホールで試合を終えて、仲間と繰り出したのがこちら。当時、浅草の小料理屋で若女将をしていた、いまの女房とのデートにもよく出かけましたね。あの頃はまだカウンターだけの小さな店で、僕はビール、彼女はチューハイを飲みながら、二人でもつ焼きを何本ほおばったことか……。
ここの串は大ぶりだから食べ応えがあるんです。しかも甘辛いタレがたまらず、酒がすすんで困っちゃう(笑)。もつ煮も具だくさんで、スッキリとしたニンニク風味が僕好みです。
マスターとはもう随分、長いつきあいになります。娘の京子がアテネ、北京、ロンドンのオリンピック3大会に出場した時も家族で応援に駆けつけてくれました。店は大きくなりましたが、マスター一家の温かい人情は変わらず店の雰囲気や味を担っています。いまもたまに家族で出かけますが、吾妻橋を渡って路地に入ると赤提灯のあかりが見えて。故郷に帰ったような気分になるんですよね。
(取材・文/今中るみこ)
「もつ焼き 稲垣本店」東京都墨田区東駒形3-25-4/営業時間:17:00~24:00/定休日:不定
※週刊朝日 2018年8月31日号