(※写真はイメージ)
(※写真はイメージ)
この記事の写真をすべて見る
血管を鍛える正しい歩き方 (イラスト/micasso)
血管を鍛える正しい歩き方 (イラスト/micasso)
左右の足1分ずつでOK!下半身のストレッチ (イラスト/つじかなこ)
左右の足1分ずつでOK!下半身のストレッチ (イラスト/つじかなこ)
テンポよく2秒×10回「グー・パー運動」 (イラスト/つじかなこ)
テンポよく2秒×10回「グー・パー運動」 (イラスト/つじかなこ)
チェックシートは島田和幸医師著『一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本』(永岡書店)から (週刊朝日 2018年8月10日号より)
チェックシートは島田和幸医師著『一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本』(永岡書店)から (週刊朝日 2018年8月10日号より)

 高額な美容液にトリートメント……。肌や髪も大事だが、健康で長生きしたいなら「血管」を若く保つことが重要だ。老化が見えない血管こそ、確かなメンテが必要。

【血管を鍛える正しい歩き方や運動方法はこちら】

 では、老化した血管を若返らせる方法は、あるのだろうか。

「筋肉は加齢とともに減っていくだけでなく、使わなければさらに衰えていきます。筋力を保つには、筋肉を適度に使う運動が欠かせません。実は血管もまったく同じ。使わないと劣化していくので、運動をして血管を鍛える必要があります」(新小山市民病院院長で、循環器内科が専門の島田和幸医師)

 鍛える対象は、「内皮細胞」だ。適度な運動をして血流がよくなると、血管の通り道にある内皮細胞が活性化される。血液と血管をいい状態に保つ司令塔の役回りである内皮細胞が元気になれば、血管壁に酸化LDLコレステロールのような有害物質が侵入しにくくなる。また、多少動脈硬化が進んでいたとしても傷みは速やかに修復され、血管の若返りが期待できる。

「内皮細胞は約千日、3年ほどかけてすべて新しいものに入れ替わります。地道に運動を続ければ、だんだん内皮細胞の機能は高まっていきます。血管の加齢スピードに歯止めをかけて若返らせることができるのです」(同)

 運動には有酸素運動と無酸素運動があるが、血管の若返りに有効なのは有酸素運動だ。ウォーキングや軽いジョギング、水中運動、エアロビクス、サイクリングといった有酸素運動は、酸素を使い脂肪を燃焼させてエネルギーを得るため、血行をほどよく促進してくれる。有酸素運動の中でも、島田医師のイチ押しは「ウォーキング」。すぐに、気軽に始められ、道具も必要なくお金もかからない。

「ウォーキングで注意したいのがフォームです。正しいフォームで歩くと、足だけでなく腕や背中など全身が動くので、より大きな運動効果が得られます」(同)

 ポイントは、以下の通り。

1.肩の力を抜いてリラックス
2.あごを引いて目線はまっすぐ前
3.ひじは直角で手のひらは軽く開く
4.腕は自然に振る
5.背筋を伸ばす
6.前足を振り出してひざを伸ばす
7.親指で地面を蹴って次の一歩へ
8.着地はかかとから
9.歩幅の目安は身長(cm)-100cm

 このウォーキングは、島田医師自ら実践し血管を鍛えるために最も効果がある方法として導き出したもの。30代までは健康状態に問題はなかったが、40歳を過ぎたころから、おなかのまわりがタプタプしてきた。血糖や血圧、コレステロールなどの数値も軒並み上昇し、「こんな状態では循環器内科医として患者さんに生活指導がしづらくなる」と一念発起。毎日出勤前に7千歩を目標に、ウォーキングを始めた。

「意外に続けられるものです。2カ月ほど経ったころ、たまたま血液検査をする機会があったのですが、血糖値も血圧もコレステロール値も体脂肪率も、見事に下がっていました。その後も続け、メタボも解消しています」(同)

 血管を鍛えるためには、できれば毎日、難しければ週2~3回のペースで、ずっと続けることが大切だ。島田医師は次のような「レベル別ウォーキング」で、段階的に無理なくモチベーションを保ちながら進めていくことを提唱している。

次のページ