「理想の暮らしや理想の子育てを追い求めて家計が破綻しては本末転倒。40代は自分たちの現実をきちんと受け止めることが大切です」

 そして50代でやっておきたいのは、

「住宅ローンや教育ローンの返済です。50代はとにかく、借金を早く返すことが大切。定年退職してから、借金抱えて年金生活なんてあり得ません。50代はちょっとバブルをかじっている人が多いと思います。だからお金をバンバン使っても『何とかなるかな』という感覚を持っている人が非常に多い。でも、何とかならないのが現実です。いつまでも『自分へのご褒美』とか『ワンランク上』とかバブルを引きずっているようでは、生活が回らなくなってしまいます」

 50代は年収もピークを迎えるが、故に普段の生活は質素にして、ローンの返済に回すことだ。

「借金さえなくなれば、その後は貯金と退職金と年金で暮らしていくことができますからね」

 肝心なのは、60代から。

「一番大事なのは、家計のダウンサイジングです。これはできれば定年の前から始めておきたいですね。私はよく『定年後はゴルフクラブをクワに持ち替えましょう』と言っているんです。お金のかかるゴルフを定年後までやるのではなく、定年後はクワで畑を耕せば、野菜代だって浮くし、野菜を作る楽しみも味わえます。お金をそんなに使わなくても充実した生活は味わえる。そんなふうに自分の発想を切り替えていくことが必要だと思います」

 そして60代で離婚をしないことも提言する。

「いくら年金分割制度ができたからと言っても、夫婦二人で築いてきたものを半分にして別々の暮らしをスタートするのはやはり大変です。離婚は金銭的にも精神的にも大きなダメージが出るもの。一時の感情で行動するのは絶対にやめたほうがいいと思います」

 長生きしたときに一番効果があるのは「現金」。

「そう、株はいつ紙屑になるかわかりませんから。安心長生き生活には『借金減らして現金はしっかり持っておく』。これが一番です」

 では老後はいくらくらい現金を持っておけばいいのだろうか。

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