カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
イラスト・カトリーヌあやこ
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「義母と娘のブルース」(TBS系 火曜22:00~)をウォッチした。
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「初手の5分で心を掴めなければ、そのプレゼンは失敗です」とは、このドラマのセリフ。この言葉、新しくスタートする番組にも当てはまる。
じゃ、このドラマはどうなのかって話だけど、最後の5分に出てきた綾瀬はるかの腹踊りのインパクトがデカすぎて、もはや最初の5分を思い出せない。
そんな腹踊りヒロインは、33歳で大手企業営業部長の岩木亜希子(綾瀬)。シングルファザー・宮本(竹野内豊)と結婚することになり、その小学生の娘から母親として認めてもらうために奮闘する物語だ。
小学生に対してもビジネス用語と孫子の兵法を駆使して、交渉を試みる亜希子。初対面では名刺を差し出し、渡した手紙は自分の履歴書。吊り橋効果(ハラハラドキドキを共有することによって、男女がより親密になると言われている)を期待して、娘をフィールドアスレチックに連れ出せば、あまりの恐怖に彼女はおもらししてしまう。
もうね、これトラウマになるから、絶対。娘の立場になったら、まじ無理だから。てなアスレチックエピソードの直前に挿入される腹踊り仕込みシーン。夜更けのオフィスのデスクにナマ腹を出して横たわる綾瀬。滑らかな腹筋が素晴らしい。
その上にまたがった部下・田口(浅利陽介)が、何やら腹に描いている。壁に浮かび上がるエロいシルエット。「明日は関ケ原です」と、綾瀬が言い放てば、鳴り響くホラ貝の音。うん、わかった。あとはこの腹踊りだけ待ち構えてればいいんだね。そんな心境だ。
ある時はおっぱい、ある時はナマ腹。ドラマ内のとんでもない設定は、だいたい綾瀬の惜しみない露出で乗り切れる! そんな制作陣の意気込みを感じる。
とはいえアスレチックシーンでは腹踊りはお預けで、晴れて娘から母親合格の採用通知を受け取ったクライマックス、最後の5分。
学童保育のお迎えで、やおら腹をめくる綾瀬。え~、そこ?というタイミングの腹踊り。なんだか滑り気味の腹踊り。鍛えられた腹筋でキレがありすぎる。営業の十八番芸が腹踊りって、今どきリアルなの?とか、いろいろ疑問がわくんだけど、ラストのスタッフロールを見たら「腹踊り指導 水木あお」の文字が。指導を受けてまでの腹踊り。もう毎回、最後の5分にやっちゃえよ、腹踊り。
※週刊朝日 2018年7月27日号