西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、新戦力として頭角を現してきた選手たちを紹介する。
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サッカー日本代表がロシア・ワールドカップ(W杯)の1次リーグ初戦でコロンビアを倒した。このコラムが皆さんの前に届く頃に日本代表が2戦目以降にどんな結果になっているかは予測不可能だが、競技は違えど、野球にも参考になることは多くある。
チーム力をいかに最大化するか。それには選手個々の性格、特徴を理解して起用することだ。その上で、自信をもって選手を送り出す。西野朗監督はその意味で素晴らしかった。私はサッカーのことはよくわからないが、その点は野球の監督も頭のど真ん中に置く必要がある。
西野監督はW杯本番前に監督交代したが、野球界でも、楽天の梨田昌孝監督が辞任して、1軍ヘッド兼打撃コーチの平石洋介が監督代行に就任した。1980年生まれの38歳。一番大事なのは、失いかけている選手の自信をいま一度取り戻してあげることだ。開幕から外国人選手がそろって不振となっているが、昨年夏場までの快進撃を支えたのは、外国人選手だけではない。日本人選手が昨年のような輝きを取り戻せば、今年の巻き返しとともに、来年以降の戦いへとつなげていくことができる。
話は交流戦。ヤクルトが最高勝率となり、セ・リーグでは唯一の勝率5割超えで、交流戦前から一気に差を詰めた。リーグ戦とは異なり、1日で同リーグのすべてのチームとゲーム差を詰められる状況も起きる。オリックスとともに、交流戦明けの戦いが楽しみだ。
好調の要因を探ると、やっぱり救援投手の出来ということになる。ヤクルトは左腕の中尾、ベテランの近藤、そして抑えの石山が勝利の方程式を形成して、安定した戦いを生んだ。これまでヤクルトの救援陣はどちらかというと、カウントを悪くして打たれる印象が強かったが、強気の攻めで投手有利のカウントで勝負できていた。オリックスも同様だ。春先は少し不安定に感じた守護神の増井がキッチリ九回を締めた。何度も話をしてきているが、安定した勝率を残すには、救援投手の安定が大切だ。