今年春の大学入試で、全国の大学の医学部合格者数トップは、私立東海高校(愛知)で計208人だった。では、卒業生数に対する医学部現役合格者数の比率が最も高いのはどこか?“女子御三家”の一つ、私立桜蔭(東京)が1位で、ほかの高校を大きく引き離す断トツの現役合格力をみせた。
医学部(医学科)のある50の国公立大学と、32の私立大学・大学校への合格者を集計した。計82校への合格者数ランキングだと、卒業生の多い高校が上位に並びやすい。そこで、現役合格者数が卒業生数に占める比率のトップ30を作成した(表、『週刊朝日』6月15日号から)。上位30高校のうち、私立が28、国立が2で、私立が圧倒的な強さをみせた。
1位の桜蔭は卒業生231人に対し、国公私立計82大学の医学部に122人が現役合格した。単純計算すると、現役合格者の比率は52.8%。合格者数は、同一受験生が複数大学に受かった場合もそれぞれカウントするのべ人数。このため、「卒業生の2人に1人が現役進学」というわけではないが、いかに多くの医学部に現役合格したかがわかる。
桜蔭以外の女子御三家も現役合格の比率が高い。雙葉(東京)は17.6%で20位。女子学院(東京)は表に掲載していないが、12.5%と高い(33位)。3校ともに1学年200人前後で、人数のランキングだと順位が下がるが、比率だと実力が際立つ。
現役合格の比率2位は、国立筑波大附駒場(東京)。卒業生162人に対し、現役合格52人で、32.1%。同校は東大医学部(理III)の合格者が最も多い高校で、17人(浪人生含む)もいる。ベスト30入りのもう一つの国立は23位の筑波大附(東京)で、15.6%だった。
3位の白陵と4位の灘は、ともに兵庫県内の私立中高一貫校。白陵は「高3生全員が大学入試センター試験を受験し、国公立大進学をめざす」との進学方針を掲げる。東大・京大合格者上位の常連校の灘は、医学部合格者数でも上位だ。
5位の東海(愛知)は、医学部合格者が全国最多。卒業生425人に対し、浪人生も含めた合格者は208人。うち116人が現役だった。8位の愛光(愛媛)も医学部に強い高校として知られ、「生徒の約3分の1が医学部をめざす」という。国公立医学部に強く、今年は61人が合格し、うち39人が現役生。3位の白陵と同様、遠くから通う学生向けの寮がある。
現役比率の上位をみると、中高一貫の私立が圧倒的に多く、1学年200人前後の高校が目立つ。目の届きやすい少人数教育で、最難関への現役合格の道を切り開いているようだ。
週刊朝日は6月15日号で、医学部への合格者が多い全国約250高校のランキングを掲載している。 (本誌・中川透)
※週刊朝日オンライン限定記事