──米国は北朝鮮が保有する核弾頭や核関連物質、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の一部を、半年内に国外に搬出するよう求め、北朝鮮側が応じれば、米国は「テロ支援国家」指定の解除も検討していると報じられました。しかし、北朝鮮は南北高官協議の中止や米朝会談の「再考」を発表するなど交渉は難航しています。

「最後まで予断は許されませんが、非核化と平和体制構築を一体に進めること、この目標を一括合意したうえで、その実施は『約束対約束、行動対行動』で段階的に進むこと。これらが交渉を成功に導く鍵だと思います」

──日本は蚊帳の外に置かれている状態ですが。

「トランプ大統領が対話に舵を切ったことで、『対話否定』『圧力一辺倒』の安倍政権は立場がなくなっています。日本政府は、政策の大転換が必要です。北東アジアの平和秩序をつくるためには日朝国交正常化は不可欠の要素です。02年の日朝平壌宣言にもとづき、核・ミサイル、拉致、過去の清算など諸懸案を包括的に解決して、国交正常化に本気で取り組むべきです。南北、米朝、日朝が、これまでの敵対関係に終止符をうって、平和・協力・繁栄の北東アジアを築く。日本政府としても、こういう方向を展望し、憲法9条にもとづく外交の大戦略をもち、この大激動に対して主体的・能動的に対応すべきです」

(構成/本誌・亀井洋志)

週刊朝日 2018年6月1日号