大手生保のセット商品の医療特約は「80歳まで」が多いことから、ここで夫に「終身医療保険」を検討する余地が出てくる。妻はすでに終身医療保険に加入しているので、二人とも「当面はこれでOK」。ただし、竹下さんは、
「妻は自分の医療より夫の介護を心配しています。夫の介護を覚悟ずみという50代の年下女房が多い印象です」
鬼塚さんの心配とあわせると、夫の「介護保険」の検討も視野に入ってくる。
結局は「不安」とどう付き合うかによる。先の代理店の中堅社員は、こう話す。
「オリックス生命の医療保険で、実際に病気をされた方から問い合わせがありました。入院で得られる給付金と保険料をお示しして費用対効果を説明しましたが、最後は『やっぱり不安だから入るよ』でした」
しかし、保険で安心を買うと、保険料がかかる分、家計は窮屈になる。逆に保険に入らないで保険料の分をためれば、貯蓄は増えるが保障はない。「こちら立てれば、あちらが立たない」選択を迫られるのだ。
【論点3】夫婦のがん保険をどうするか?
がん保険も、状況は医療保険と似ている。
がんの治療は日進月歩で、時間の経過と共に手術や入院の概念さえ変わってしまう。このため、古いがん保険は「突っ込みどころ」が多い。
例えば、昔のがん保険は「診断給付金と入院・手術給付金」がセットで売られていた。
「昔は手術が常識でしたが、今は入院せずに抗がん剤や放射線治療を通院だけで行うケースがかなり増えています。入院しませんから、昔のがん保険では給付金がゼロです。後から気づいて、『もらえると思っていたのに……』と残念がる方を見かけたこともあります」(竹下さん)
また、がん保険は、まとまってもらえて自由に使える「診断給付金」が魅力とされるが、古い保険の中には、その診断給付金が65歳以降は半減してしまうものがある。診断給付金が「100万円」の契約なら、「50万円」に下がるわけだ。仮に会社を通して加入している場合、会社と縁が切れると保険料の「団体割引」も同時に終わってしまう。保障が半減するのに保険料は上がる、ダブルパンチの事態もありうるわけだ。
見直し必至に見えるが、ここでも手法は異なる。