著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、俳優の梅沢富美男さんがお気に入りの「魚三四味家」の「きんきの煮付」だ。
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東北人ですから、やっぱり魚が好き。ある日、どうしても魚が食べたくて、前々から気になってた、事務所近くのこちらに伺いました。正直なところ、最初はそこまで期待はしていなかったけれど、築地から入る魚がたくさんメニューに並んでいて、どれも新鮮で驚きました。しかも店員さんが感じがよくて、いっぺんに気に入りましてね。僕はいくら料理がおいしくても、お店の人が感じが悪いとダメ。だって、老い先短いんだから、おいしいものを気分よく食べたいじゃないですか(笑)。
魚の煮付けは僕もたまに作るのですが、煮込みすぎると身が硬くなってしまう。ここのキンキは新鮮なので、味がしみ込む一歩手前で仕上げないとおいしさが半減する。なおかつ薄味だと間が抜けた感じになるので、しっかりとした味のタレをふっくらとした身に絡めて食べるのがちょうどいい。この煮付けは、そんな僕のストライクゾーンにピタッと見事にはまるんです。お酒は進むし、ご飯のお供にしたら何杯でもいけちゃいます。
(取材・文/今中るみこ)
「魚三四味家」東京都目黒区自由が丘2‐13‐2辰巳ビルB1/営業時間:11:30~14:00、17:00~23:00L.O./定休日:なし
※週刊朝日 2018年5月4-11日合併号