放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、東麻布にある『鉄板・お好焼 かねいし』について。
【写真】プロ野球ファンも集う「鉄板・お好焼 かねいし」の店内はこちら
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プロ野球が開幕すると、ファンや選手が集まって盛り上がる飲食店は多い。その中の一軒が東麻布にある『鉄板・お好焼 かねいし』。オーナーは、日本ハムや巨人にも在籍し、なかでも広島東洋カープでの活躍が特に印象的な元プロ野球選手、金石昭人氏である。
現役を引退したアスリートや力士、そして芸能人らが経営している飲食店は多いものだが、繁盛店となると意外に少ないものだ。
「有吉ゼミ」(日本テレビ系)で時折やっている「衝撃企画!芸能人の心配な店」で“心配”されている店を見ていると、失礼ながら「もう閉めたらいいのに」と言いたくなるほど閑古鳥が鳴いているものだ。
私は経営のプロではないが、お客目線でその差は何なのかと考えると、一つには経営者がどれだけ頻繁に店に顔を出すかではないかと思う。
実は金石氏は、東麻布の『かねいし』以外に西麻布店と、目黒に『鮨 かねいし』の計3店を経営。日曜や祝日以外はほぼ毎日、すべての店をまわっているのだ。
金石氏だけではない。妻で元バドミントン選手でキャスターでもある陣内貴美子氏も、ほぼ毎晩、店に出て、すべてのテーブルに挨拶をして回るのだ。知り合いや馴染みの客のみならず、一見(いちげん)さんにも、あの明るい笑顔で「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」とやるのだから、リピーターが多いハズである。
著名人の常連としては、有名プロ野球選手やOB、解説者らに加え、小椋久美子氏ら陣内氏の後輩にあたるバドミントン選手たち。さらには氏が長年キャスターを務める「news every.」(日本テレビ系)の出演者やスタッフらにも『かねいし』は馴染みの店。
女子アナや女優とも交流がある陣内氏をリーダーとした「女子会」のメンバーやトーク内容は、女性週刊誌に度々掲載される。
店主と女将が魅力的だというだけではない。YONEXのロゴ入りTシャツやリストバンドを着けた店のスタッフも元アスリートなのだろうか。実に元気が良くて爽やかな接客も同店の人気の秘密。
もちろん、広島風お好み焼や、旬の食材を目の前で調理してくれる各種鉄板焼から、煮込み料理、女性客に人気のチーズ焼、さらにはピーターが名付け親の和風スイーツ「慎之介焼」まで、「何を頼んでもハズレなし」の料理も大人気だ。
グルメで研究熱心でもあるオーナー夫妻の提案がそこかしこに反映されているのも繁盛の理由。他店は学ぶことだらけだ。
※週刊朝日 2018年5月4-11日合併号