その後、79年に日本シリーズを制し、初の日本一になったのですが、翌年のキャンプで優勝ペナントが飾られている光景は素晴らしいものでした。リーグ優勝と日本一では、それほどの違いがある。今の選手たちも、リーグ優勝で浮かれてはいけません。
今年(注:2016年)は1番・田中広輔、2番・菊池涼介、3番・丸佳浩の若手3人で打線を固定できたことが、チームに好循環を生みました。彼らが安定した活躍をしたことで、新井貴浩のようなケガを抱えるベテラン勢を休ませながら起用することができました。
そのほかでは、ホームゲームで圧倒的な力を見せたことが大きかった。勝率は約7割で、これはマツダスタジアムを真っ赤に埋め尽くしたファンの後押しがあったからできたことでしょう。
カープは広島の文化であり、宝です。広島の人たちは、あいさつをする前に「昨日の試合は良かったなあ」なんて話をする。それも、創立期から市民が球団を支えてきたからなのです。
だからこそ、カープの選手たちは、これからも人々に勇気と希望を与える存在であってほしい。それが僕の願いです。
※週刊朝日増刊『緊急復刊アサヒグラフ 広島カープ2016全記録』から再掲載(週刊朝日オンライン限定)