──経産省は3月、国のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しを協議する有識者会議を開き、30年度の電源構成(エネルギーミックス)は原発20~22%を維持する方針を固めています。新増設や建て替えも検討されています。
安倍政権も経産省も時代遅れだ。国会の事故調査委員会は、福島第一原発の事故は「自然災害ではなく、人災である」と結論づけている。原発推進派は3・11の前、「(あのクラスの)大きな地震は来ない。高い津波は来ない」とタカをくくり、対策をおろそかにした。また過ちを繰り返すつもりか?
──電力会社、原発関連メーカーなど原子力ムラは健在ということでしょうか?
経産省は恥ずかしいと思わないのかな。規制する側の旧原子力安全・保安院と規制される側の東電の立場が崩壊した。規制する立場なのに、電力会社は経産省幹部の天下り先だから、立場が逆転してしまっていたんだ。その結果、規制される立場の虜になっていた。
──安倍首相の側近、今井尚哉首相秘書官は経産省出身で資源エネルギー庁次長を歴任した原発推進派です。
秘書官なんて安倍さんにその気があれば、代えられたはず。安倍さんが経産省に乗っかって推進し、誰も闘わなかったからこうなった。だが、原発も嘘の上塗りに過ぎない。いずれ、挫折するよ。頭のいい人たちがどうしてわからないのか理解できないね。来年の参院選で野党がまとまって原発ゼロを争点にしたらまずい。自民党も安穏としていられなくなる。だが、首相が代われば、大きく変わる。次の総裁選で誰がそこへ踏み込むか。期待したいね。
(聞き手 本誌・上田耕司、森下香枝)
※週刊朝日 4月27日号