今回の調査を担当したTrue Dataの鳥谷正彦氏は「定番系の商品が強い」と解説する。
今回の調査対象は全国のスーパーマーケットでポイント付与などの会員になっている顧客となる。
複数のスーパーにまたがって会員となっている人も含めた延べ人数で5千万人ぐらいからデータを得ているという。そのうち7割ぐらいが女性会員になる。
インスタントラーメンの歴史をさかのぼると、日清食品が1958年に発売した「チキンラーメン」が世界で初めて。今年で発売60周年を迎える。そのチキンラーメンは今回のランキングで第3位に入った。日清食品によると、味は発売当初から変わっていない。当初は、うどん1玉6円ぐらいの時代に1袋35円とやや高かったという。現在の希望小売価格は税抜きで105円となっている。
今回の調査ではサンヨー食品のサッポロ一番シリーズから「塩らーめん」が第2位、「しょうゆ味」が第6位と上位に入った。
チキンラーメンにしても、サッポロ一番シリーズにしても、昔なつかしい商品が根強い人気を保っているのがインスタントラーメン市場の特徴だ。
サッポロ一番シリーズでは66年に最初のしょうゆ味が発売となり、68年にみそ味、71年に塩味が加わった。みそラーメン発売から今年でちょうど半世紀となる。
サンヨー食品によると、初代社長は井田文夫氏で、その前身は造り酒屋。
造り酒屋に大切なのは味覚センスであり、それを受け継いだとみられる2代目社長で当時専務の井田毅氏がサッポロ一番の開発を陣頭指揮したという。
「開発当時は札幌にあった百貨店・五番館にヒントを得て、『札幌五番館ラーメン』とか『札幌五番』といった商品名のアイデアもありました。しかし、語呂や長さなどを考え、五番よりも一番がいいとの判断から最終的に『サッポロ一番』になりました」
2代目社長の味覚センスと開発にかける意気込み、そして親しみやすいテレビコマーシャル。
これらが絶妙にマッチして人気商品が誕生した。冒頭で紹介した藤岡氏が登場するテレビCMは70年に始まり、32年間続いた。
サッポロ一番のみそラーメンと塩らーめんは販売トップ2を走り続けている。
True Dataによると、2016年4月から3カ月ごとのランキングで、順位が入れ替わることがあっても、1、2位は不動だという。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2018年4月20日号