インスタントラーメンの販売ランキングでは、昭和のなつかしの味が上位を占める。最も売れているのは、サッポロ一番みそラーメン。開発に創業家が陣頭指揮をとり、親しみやすい商品名に知恵を絞ったおかげで、半世紀にわたり、不動の人気を誇る。その秘密に迫った。
「サッポロ サッポロ サッポロ一番 これがラーメン本場の味だ……」
俳優の藤岡琢也氏が登場するテレビコマーシャルをなつかしく思い出す中高年は少なくないはずだ。数多くの商品があるインスタントラーメンのなかでも、サッポロ一番みそラーメンの知名度向上に大いに貢献したCMであることは間違いないだろう。
市場調査会社True Dataの調べによると、インスタントラーメンで最も売れているのはサッポロ一番の「みそラーメン」となった。年初から3月25日まで全国のスーパーマーケットの販売額をランキングしたものだ。
お湯を注ぐだけのカップ麺と違い、インスタントラーメンの魅力は家庭で野菜などと一緒に煮込み、栄養価を高めた食事にできることだろう。保存が可能で便利なうえに調理も簡単で手軽、しかもおいしく、お手ごろな価格となれば、家庭の主婦にとって仕事や家事などに追われて忙しいときの救世主のような、ありがたい食べ物だ。
煮込むとなれば野菜の水分が染み出てくるが、ほど良い味になるように味付けされたみそラーメンの人気が高いのはうなずける。多くの日本人にとって子供のときから味噌汁で馴染んできた味だからだ。
サッポロ一番みそラーメンの味付けについて、サンヨー食品の広報宣伝担当者は「野菜や肉など、何を入れても合う味にしている。そのまま食べてもおいしいようにしている。
発売当初から基本的にほとんど味は変わっていない」という。
サンヨー食品ではサッポロ一番みそラーメンの顧客について「基本的にはスーパーで購入する女性、主婦層が多い」とみている。
今回の調査でサッポロ一番みそラーメンの購入者を男女別、年代別にみると、全体のほぼ6割を40~70代の女性が占めている。40代から70代のどの年代の女性もほぼ15%前後となった。男性の購入者も年代別で40~70代がほとんどを占めた。インスタントラーメン全体の購入者の属性をみても、ほぼ同じような傾向となった。インスタントラーメンが全盛だった時代から、その味に慣れ親しんできた世代が今でも家庭で食べていることがわかる。