夫は元俳優で、干物屋を営む久保田商店社長・久保田光治さん。妻は「週刊新潮」で「TVふうーん録」を連載中のコラムニストでイラストレーターの吉田潮さん。二人はそれぞれ静岡と東京で暮らす遠距離別婚だ。その決断に至った背景とは?
※「『あそこのデカイ男を紹介して…』吉田潮の夫との衝撃的な出会い」よりつづく
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――付き合い始めて3年たったころ、ふたりは一度、別れている。そのころの妻は「子どもが欲しい病」にとりつかれていたという。
妻:私も結婚にはまったく興味なかったんです。ただ、好きな人と一緒に暮らしたかったのと、子どもが欲しかった。今思うと、相手と付き合っている証しが欲しかったんだと思いますね。日記を読み返すと、妊娠や同棲について、ずいぶん話し合った形跡があって。
夫:それでも僕は結婚する気がなくて。いくら同棲だけでいいって言われても、そうなったら結婚に向かうことになるじゃないですか。それでいつもケンカになって、別れることに。
妻:とはいえ、お互い新宿界隈にいたから、ばったり会ったりしてね。
夫:友達ではいたからね。会えば「よう!」なんて。
妻:それが1年後にまた合流したのは、私があなたのお芝居を見に行ったのがきっかけだよね。芝居のあと飲みに行って。私、彼に強烈にダメ出ししたんですよ。
夫:演出家も共演者もみんな年下だったんです。稽古の段階から僕には誰も意見をしない。僕はまだまだ芝居は下手だし、遠慮なく言ってほしかったのに。
妻:私はもう、思ったことをずけずけと。「刑事があんな靴履いてるわけがない!」とか。ほぼ、言いがかり(笑)。
夫:でもそれがうれしくてね。べろべろに酔っぱらったのを覚えてる。やっぱりわかってくれてるのはキミだけだ!なんて。
妻:そのとき彼が言ったんですよ。「やっぱり、結婚するんだったら、君だったなあ」って。覚えてないみたいだけど。
夫:ハイ。覚えてないです。