東大の掲示板の前では受験番号を示す姿が見られた(撮影/加藤夏子)
東大の掲示板の前では受験番号を示す姿が見られた(撮影/加藤夏子)

 東京大と京都大の合格発表が3月10日にあり、合わせて約5700人が喜びの春を迎えた。今年の全体の動向や出身高校ごとの合格者数を分析した。

 東大の入学試験(前期日程)の合格者は、正午ごろに発表された。今年の合格者は3014人(現役は66.8%)だった。

 本郷キャンパスでは、受験番号を確かめようと、多くの受験生らが集まった。

「どうしても受かりたいと思って浪人しました。番号があったときはグッとこらえたのですが、母や祖母に電話で報告したら、思わず泣いてしまいました」

 理Iに合格した男子(19)は涙を拭いながらこう答えた。ほかにもスマホで保護者に報告する姿があちこちで見られた。

 今年は合格者の平均点が理系で大きく下がった。河合塾本郷校(東大専門特化校舎)の青木緑・校舎長はこう見る。

「数学は昨年までの2年間は、比較的簡単な問題でした。今年は難しくなり、問題を見極める力が問われました。現代文でも差がつきやすいような問題になっていました」

 東大では女子や地方出身の合格者が少ないことが、課題となっている。前期の合格者のうち女子の割合は18.3%で、昨年より1.0ポイント減った。

 東京を含む関東以外の地方の出身校の割合は39.9%で2.5ポイント減った。

 駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、数学の難化の影響が考えられるという。

「地方の高校よりも、早くから受験勉強に取り組める東京の中高一貫校が有利だったのかもしれません」

 東大の福田裕穂副学長は10日の会見で、地方の女子らの獲得に力を入れていくと説明した。

「地方の優秀な女子が、地方の医学部に進学している。東大生を地方の母校に派遣して魅力を知ってもらう取り組みを、継続している」

 合格者を高校ごとに見ると、私立・開成(東京)が37年連続でトップ。麻布(東京)、栄光学園(神奈川)、桜蔭(東京)と私立の名門校が増加した。

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