――ほかにない発言を引き出すというのは、プロダクションからすると困ることもあったかと思います。苦情はありませんでしたか?

なかったです。やっぱり、番組の視聴率がよかったから。例えば、松田聖子さんが泣いちゃったことがあって、黒柳さんが「泣いていましたね」って言ったんです。でも僕は「いや、涙は出ていなかったような気がする」と言った。それで、「嘘泣き」という言葉が一気に広がってしまったんです。これ、ふつうは、プロダクションからクレームがつきますよ。でも僕はちゃんとモニターでも肉眼でも見ていましたし、テレビを観ている人も僕の発言が事実だとわかるでしょうから、言っても許されるかなと。ただね、僕は涙は出ていない、って言っただけで、嘘泣きだなんて言葉は使ってないんです。世間が言いだしただけで。でも、この「嘘泣き」って、だんだん、聖子ちゃんはプロだっていう、彼女を称賛する言葉になっていったんです。それは長い目で見たら、マイナスじゃなかったな、って。ちょっと言い訳がましいんですけど(笑)。

――ご自身のこと、口が悪いな、と思うことは?

それはないですね。いつも、みんなが言わないことを言おうと思っているだけですから。ニュース番組でも、僕の信条はさておき、誰も言ってない意見を言ってみようというのがモットーだったんです。例えば、共産党が言わないようなこと、赤尾敏サンでさえも言わないようなことを言って、(視聴者に)そういう考え方があるのか、と感じてもらうような意見を言うというのが、僕の考え方なんです。

――自分の信条が真逆だったとしても、必要な質問をする、ということですか?

今までに聞かれたことのない質問だったら、聞いてみようと思います。僕個人の意見も言いますけど、優先するのは、聞いたことのない話、聞いたことのない意見。それが最大の優先項目なんです。ほかの歌番組とは違うんだ、ほかのニュース番組とは違うんだ、っていうのを見せたかった。視聴率を上げようってことじゃないんですよ。数字がよかったのは結果論です。

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