――久米さんと黒柳さんの丁々発止のマシンガントークのあと、歌が始まるという印象が強く残っています。
そういう形は徐々にできていったものです。10位から発表していくんですが、8位のあたりまで、先のことを心配していないから、トークで遊んじゃうんですよ。5位を過ぎたあたりで時間がないことに気づく。至上命令として、1位は絶対に放送しなくてはいけない。上位になればなるほど歌のセットにも凝るし、インタビューの仕掛けにも、ある程度時間が必要になってくる。その時間の余裕を、5位くらいで使い果たしているんです。人間って学ばないもので、何回やってもそうなるんです(笑)。1位の歌まで18秒しかないとか、最後の記念撮影に最低5秒は必要だとかになって、黒柳さんを叩いたり抑え込んだりして黙らせる(笑)。時間との戦いで、どんどん早口になっていきました。
――本番前に、話す内容などは考えていましたか?
事前に決まっていることはいくつかありました。例えば、前週から急上昇して2位にランクインした場合とか、落ちて3位になったときとか、どうしてもしなければいけない話があるし、歌手の誕生日だとか、絶対外せない事案もあるわけです。だけど、新幹線の移動中に歌うといったハプニング的な中継もあれば、面白いシーンは引き延ばしたくもなる。街角に信じられないくらいの群衆が集まっていたら、この映像を少しでも長く見てもらいたいって気持ちが生まれる。だから、後のことは考えないようにしよう、というのが2人にはありました。そういうサービス精神は忘れないようにしようと心がけていました。
――久米さんがいちばん困ったことは?
僕と黒柳さんで歌手のバックダンサーを務めたことですね。ちゃんとした振付師がいて、2週間ほど練習したんです。僕は、「番組を進行するだけで精いっぱいだから、踊りは勘弁してくれ」って言ったんですけど、演出家がどうしてもって。あれは本当に大変だった。本番では肝心なところで、黒柳さんがミスって大笑いになったんです。ミスするなら僕だと思っていたのに。僕も黒柳さんも演出家も、忘れたい出来事だと思いますね(笑)。
――司会者として失敗した、という出来事は?