調理が簡単という理由で、米やめん類などの炭水化物を増やしがちだが、代謝の仕組みで、炭水化物を多くとるほど体内の二酸化炭素の量が増える。それは空気をうまく吐き出すことができないCOPD患者にとっては、苦痛でしかない。
むしろ増やしたいのは、タンパク質や脂質で、それはエネルギーとして使われてしまう筋肉や脂肪組織を補うためだ。
「理想は、ごはんなどの炭水化物の量はいつもどおりで、肉や魚、乳製品、大豆製品などのタンパク質のおかずを追加します。その際、ツナオイル缶やサバ缶などを使ったり、納豆やみそ汁に少量の油をかけたりすれば、食事の量は増やさず、エネルギーだけを増やすことが可能です」(同)
工夫の仕方は上のとおり。具体例を挙げると、みそ汁に油を10グラムかければ+90キロカロリー、ウィンナーをゆでるのではなく油で炒めれば+50キロカロリー、浅漬けにゴマ油などをかければ+37キロカロリーとなる。COPD患者向けの料理は、田中さんが監修したレシピ集「COPD患者さんのおうちごはん」が、ウェブサイトからダウンロードできる。
間食は炭水化物に偏らず、プリンやフルーツヨーグルト、アイスクリーム、たこ焼き、お好み焼き、チーズなど。栄養補助食品を利用してもOKだ。
ちなみに、田中さんが料理で使うことをすすめている油は、前出の功刀さんもすすめていた中鎖脂肪酸だ。
「ほかの油と違って、すぐにエネルギー源となり、一般的なサラダ油やオリーブオイルに比べて消化吸収が早い。効率よく摂取エネルギー量を増やせます。何より大切なのは、こうした食事に運動を加えること。それで筋肉や体力がつき、元気が戻って体重の維持、増加もできます。COPDの患者さんの理想の体形は、ちょい太め、BMI25~26を目指してほしい」(同)
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2018年2月2日号