普段の食事にプラスすることで効果が期待できる食材もある。功刀さんは、「緑茶」と油の「中鎖脂肪酸」への期待を語った。

「緑茶については、金沢大学が2014年に、緑茶をまったく飲まないグループに比べて、毎日飲むグループは認知機能の低下リスクが3分の1に、週に1~6回飲むグループは2分の1に減少したという研究を報告しています」

 緑茶で注目する成分は、渋み成分のカテキンとうまみ成分のテアニンだ。これまでの研究では、カテキンには抗酸化作用や抗菌作用、血圧や血糖値を上げるのを抑制する作用などが、テアニンにはリラックス効果や睡眠改善作用、記憶力改善作用などが報告されている。特に、テアニンの脳への作用については、興味深いことがわかってきた。

「脳などにある神経細胞が死ぬと、そこからグルタミン酸という成分が多く分泌されます。このグルタミン酸が過剰になると、他の元気な神経細胞にダメージを与えるようになりますが、テアニンはグルタミン酸と構造式が似ているため、その作用を阻止してくれる。脳を守ってくれる可能性があるのです」(同)

 テアニンは根で作られ、茶葉で増えるが、日光に弱い。生産段階で覆いをして茶葉に日を当てない玉露や抹茶など、高級茶ほど多く含まれる。脳の健康のためには、少しぜいたくをしてもいいのかもしれない。

 もう一つの食材、中鎖脂肪酸の代表格はココナツミルク。最近は市販品も登場し、利用しやすくなった。中鎖脂肪酸は、体内でケトン体という物質に変わる点がポイントだ。

「最新研究で、認知症になると、脳はブドウ糖を利用しにくくなりますが、ケトン体はエネルギー源として利用できることが明らかになりました。つまり、体内でケトン体になる中鎖脂肪酸をとることで脳のエネルギー源が確保できるため、認知機能の低下が予防できる可能性があるわけです。検証は今後も必要ですが、注目している食材の一つです」(同)

 これらの意見を踏まえると、朝は玄米ごはん、皮ごと野菜入りのみそ汁、丸干しや納豆、りんご(皮つき)、ヨーグルトを。夜はレバニラや焼き鳥(レバー)、湯豆腐などのおかずがいいだろう。ティータイムには玉露か抹茶を飲もう。

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