独立以来、常に話題となっている香取慎吾さん。92歳でありながら現役の脚本家として活躍を続ける橋田壽賀子さんとの対談では、これからの覚悟を表明した。
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橋田:あなたはドラマは大河もやられたし、主演ではほかには?
香取:大河ドラマは「新選組!」、フジテレビで「西遊記」もやりました。大河は1年と言っても1年半撮るじゃないですか。それを乗り切るのは大変です。
橋田:脚本を書くほうは2年かかります。香取さんは個性が強くて、私が書くホームドラマにははまらない人です。美男子すぎるし。この方が生きるようなドラマは1オクターブ高いものを書かないといけない。
香取:1オクターブですか。
橋田:そう。香取さんとドラマの仕事をしたいけれど私には書けない。
香取:橋田先生は(「新選組!」の脚本を書いた)三谷幸喜さんのことはどう思われますか。
橋田:私とは違う世界の人です。あなたは三谷さんと合う。あの方の作るキャラクターに香取さんははまります。私はその辺のお兄さんかおじさんしか書けないから香取さんには申し訳なくて出ていただけない。まねしたいとか思わないけど、三谷さんの才能はすごい。同じ一流の倉本聰さんや山田太一さんに追いつきたいとは思わない。私は私。二流でいいと思っています。
香取:先日、熱海に「おじゃMAP!!」で伺った時に建物の地下に大きな教室を造っていたのを見せていただいたじゃないですか。そこで弟子を取って教えようとしたけれどやめたと聞いて驚きました。
橋田:倉本聰さんの富良野塾じゃないけれど、後輩を育てるのも私の役目だと思って5人ぐらいに脚本の勉強をさせようとスクリーンや布団、台所や机や椅子もそろえてたんです。
香取:そこまでしたのにどうしてやめたんですか。
橋田:忙しくてできなかった。70歳で仕事をやめてやろうと思ったけれど、仕事が来た。90歳になってもまだ書かされているからだめですよ。仕事しながらは私には無理です。