先攻有利説を掲げる馬淵監督だが、甲子園春夏通算最多となる64勝を挙げる智弁和歌山の高嶋仁監督は、「まだわからん」と濁しながらも、「僕は“流れ”を大事に考え、先攻のやり方を見て対応すると思います」と、“後攻有利”の口ぶりだ。無死一、二塁の場面は、攻撃野球をモットーとする高嶋監督には好機とも思えるのだが、「僕らの頭の中は昔の野球しかないんで、できたらタイブレークまでに決着を付けたい。今のところそれぐらいしかタイブレーク対策はないですね」と淡々とした表情。だが、秘策はあるようだ。「バントでいったら流れが止まるような気がすることがあるし、打たせればダブルプレーもあるわけで、ゴロだけは打つな、最悪でも外野フライ、という指導になっていくでしょうね。今でもチャンスでゴロを打ったら、たとえヒットでも怒りますから(笑)」(高嶋監督)
ちなみにこの両校、昨秋に練習試合でタイブレーク制を導入。十回表に明徳義塾が2点を取ったが、その裏、智弁和歌山が3点を返し、高嶋監督に軍配が上がった。今大会で優勝を飾った明徳義塾、そして近畿大会準優勝の智弁和歌山の選抜出場は濃厚だ。対照的な戦略を巡らす名将の駆け引きを甲子園で見てみたい。(黒田朔)
※週刊朝日 2017年12月1日号