■四条大橋のたもとの目を引く洋館 レストラン 菊水(京都)

 もともとは瓦煎屋だったが、ハイカラ好きの店主が大正5(1916)年に洋食屋に商い替えした。

 当初は煎餅屋を改装して営業していたが、上海に赴き西洋建築を視察したうえで、大正15年に新築。アール・デコとスパニッシュ様式の双方を取り入れた5階建ての洋館は、京都っ子の度肝を抜いた。

 1階は喫茶・軽食のレストラン&パーラー、2階が本格的フレンチレストラン、3.4階は宴会場兼ダンスホールで、屋上は夏季にはビアガーデンに。

 4代目店主の奥村洋史さんは、ふぐ処理師の免許も持つ。「決まりごとにこだわらず、おいしいものを自由に提供したいと考えています」と、冬にはふぐメインのコースも出すようにした。創業から100年経っても、進取の精神にあふれる店である。

京都市東山区四条大橋東詰祇園/営業時間:10:00~21:30L.O./定休日:なし

(取材・文/本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2017年11月24日号