横浜DeNAベイスターズの宮崎敏郎選手(28)が首位打者に輝いた。打率3割2分3厘。チームを19年ぶりの日本シリーズ進出に導く立役者となった。
「首位打者に驚きはないです。打撃センスはず抜けていましたから。以前から『なぜ彼をもっと使わないんだろう、出れば絶対打つのに』と思っていたほどです」
そう語るのは、社会人野球「セガサミー」の赤堀大智選手。宮崎選手がセガサミーに在籍した頃のチームメートだ。2人は2012年、そろって横浜からドラフト指名を受けた。宮崎選手は6位、赤堀選手は4位。奇遇の縁で、今もLINEをやり取りする間柄だ。
「ものすごく謙虚で、愛すべきキャラ。活躍した日に『いいバッティングだったね』と送信しても、返事は『まだまだ』。首位打者がみえてきた頃、一緒に食事しましたが、ただ『頑張ります』と、いつもの宮崎でした」
172センチ、85キロのずんぐり体形から“ハマのプーさん”と親しまれる。横浜入団後、なかなか定位置を取れなかったが、今季は打撃力で大きく開花した。
驕ることも飾ることもない。セガサミー時代の公式戦すべてを取材したライターの佐々木亨氏はこう語る。「彼がプロ3年目、都市対抗東京都2次予選にふらっと現れたんです。自分を育ててくれたセガサミーの試合をじっと見ていました。即戦力として期待される社会人野球出身ながら、結果を出せずに悩んでいた時期。自身の原点を見返すような真剣な表情に、人間くささを感じました」
欠点や苦手なものはないのか? そう赤堀選手に聞くと考え込んでしまった。「酒が強く、歌もうまい。あれ? 欠点ないなあ……あ、愛称通り、チビデブってことくらいですかね(笑)」
日本一という“甘い蜜”を味わうプーさんをみたい。(本誌・秦 正理)
※週刊朝日 2017年11月10日号