こうした入院関連機能障害は、元気な高齢者には起こりにくく、余力が残っていない虚弱な高齢者で起こりやすい。前出の山口さんに聞いた危険因子は、下記のとおりだ。
【入院関連機能障害の危険因子】
□高齢(80歳以上)
□「電話をする」「買いものをする」「食事の準備をする」「家事をする」「洗濯をする」「電車やタクシーに乗る」「正しく薬が飲める」「お金を管理できる」のうちの3項目以上で、周りの助けが必要になる※1
□立ったり、歩いたりができない
□「食べる」「移動する」「洗顔や歯磨き」「トイレで用を足す」「入浴」「歩行」「階段の上り下り」「着替え」「排便コントロールができる」「排尿コントロールができる」のうち、2項目以上で周りの助けが必要になる※2
□がんの転移、脳卒中の既往がある
□認知症が進行している
※1 手段的ADL(日常生活動作) ※2 基本的ADL
(山口さんの取材から編集部でまとめたもの)
「年齢が高い人、入院前から自立が難しく、介護を必要としていた人、過去に脳卒中などの病気にかかったことのある人は、気を付けたほうがいいでしょう」(山口さん)
入院の状況によっても入院関連機能障害の起こりやすさは変わる。例えば、心臓病やがんなど、手術日が決まっている予定入院より、肺炎など急病で入院するほうが起こりやすい。あらかじめ入院関連機能障害の対応についての説明がないぶん、心構えができていないからだ。また、入院期間が長びくほどリスクは高まり、症状が悪化しやすい。
※週刊朝日 2017年10月6日号より抜粋