今回、弊誌で改めて同センターに、12年以降の相談件数について問い合わせると、相談件数は増えていることがわかった。健康被害が起こって医療機関を受診したもの(危害)と、健康被害が生じるおそれがあるもの(危険)を合わせると、16年度は73件と、過去5年間では最多。冒頭のケースも、同センターに寄せられた相談事例の一つだ。

「健康機器の流行もあり、相談内容も時代とともに変わっています。近年では『EMS器具』や、複数のエクササイズができる『腹筋マシン』の相談が目立ちます」(商品テスト部企画管理課課長補佐の坂東俊秀さん)

 相談者の性別、年代をみると、男性より女性、年代では50~60代が多い。健康被害の内容は最も多いのが腰痛や関節痛など(その他の疾病および諸症状、腰痛・吐き気・関節痛などに分類)201件で4割近い。すり傷や打撲、切り傷などの軽症もあるが、なかには骨折、神経・脊髄の損傷なども。その他には頭蓋内損傷(2件)や、切断(1件)、窒息(1件)といった重い健康被害も含まれている。

 日本体育協会認定スポーツドクターで、順天堂大学医学部附属浦安病院整形外科准教授の前澤克彦さんは、こう警鐘を鳴らす。

「どこをどう鍛えればいいか、自分に合った、適切な運動が何であるか知らない人がほとんど。その結果、宣伝・広告で鍛えられた体を見て『これは良さそう』と、買って使ってみる。宣伝と実際の自分の体力、筋力などにギャップがあり、思いも寄らないケガをしてしまうのです」

 とくに、若いころに運動経験のない人ほど、運動のイメージがつかみにくく、思わぬケガをしがちなので、注意が必要だという。

週刊朝日 2017年9月8日号より抜粋

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