一方、10秒19の多田、10秒21のケンブリッジはいずれも各組で4着ながら、全体の17位タイ、20位で準決勝進出を決めた。
4組だったケンブリッジはスタートはまずまずだったが、中盤以降でスピードが伸びず、「最後、体が崩れてしまった。ただ、状態は悪くない」とベストの走りには遠かった。それでも準決勝進出。6組でボルトとともに走った多田は、得意のロケットスタートで飛び出し、中盤まで“人類最速の男”に先行する走りを見せた。
「(ボルトの隣のレーンで)途中まではいけるかなと思ったんですけど、やはり後半に力んでしまった。ただ、体も軽くて足さばきもいいので、準決勝でさらにいい走りがしたい」
100メートルで日本勢3人全員が同時に準決勝に進むのは五輪、世界陸上を通じて史上初。締め切りの都合で、本稿で準決勝以降の結果はお伝えできないが、日本陸上界が長く足踏みを続けてきた「10秒の壁」がロンドンの地で破られたとしても不思議ではない。日本時間13日に決勝がある男子4×100メートルリレーも楽しみだ。バトン技術を生かして昨年のリオデジャネイロ五輪は銀メダルに輝いた。リレーには、今回100メートルに出場した3人に桐生祥秀(東洋大)、飯塚翔太(ミズノ)らを加えた中から4人が選ばれるが、組み合わせ次第でそれぞれの自己記録を比較すれば昨年を上回る。同五輪金メダルの王者ジャマイカは圧倒的な強さを誇るが、果たして。
※週刊朝日 2017年8月18-25号